「海の命」指導案 6年国語

6年

単元の流れ

5時間扱い
  • 1時間目
    物語の感想を伝え合おう

  • 2時間目
    「一人前の漁師」とは

  • 3時間目
    それぞれの「一人前の漁師」とは

     ◎太一に最も影響を与えたのは誰か

  • 4時間目
    太一にとって「一人前の漁師」とは

     ◎なぜ、クエを殺さなかったのか

  • 5時間目
    太一は「本当の一人前の漁師」になれたのか

1時間目

物語の感想を伝え合おう
  • 15分
    教師の範読
  • 15分
    初読の感想を書く

    「考えたこと」「疑問に思ったこと」「表現について」/ 箇条書きで

  • 15分
    感想の全員発表

    一人10秒で全員発表 / 個数の少ない子から

初読の感想を書く

感想は、考える視点を与え箇条書きで書かせることで書きやすくなる。「考えたこと」「疑問に思ったこと」「表現について」など3つ程度。どうしても思い浮かばない児童には、「おもしろかった?(悲しかった?)」→「どこでそう感じたの?」など、「気持ち→そう感じる根拠」を聞いてあげると良い。認めてあげることで、自信がつき、さらに書き進めることができる。

箇条書きの良さ→「最低4つは書けるといいね」など、個数の目標を立てることで書きやすくなる。

感想の全員発表

書いた感想の個数を挙手させて、少ない子から発表させる。

いくつもある中で、一番伝えたいことのみ発表。できれば、先に出た友達の意見と違うものを優先して発表するなど、条件を与える。違う意見がある方が学級の考えの幅が広がることや、「発表できなかった意見もあると思うけど、先生が後でノートを読ませてもらうからね」などと伝えることで、さまざまな感想が出てくる。教師は、与えた視点ごとに板書をしていく。似ている考えや、意見のつながりなどを板書し、意見交流の場にする。

一人10秒程度で発表させる。(30人学級なら5分で全員発表できる。)この方法に慣れるまでは、自分の感想が10秒で言えるか、それぞれ口々に練習させる時間を取るのも良い。

小学校最後の物語。そのように伝えるだけで、子どもたちの物語に向かう姿勢が変わってくる。「なぜ、クエを殺さなかったのか」「なぜ、生涯だれにも話さなかったのか」児童の疑問にも出てくるであろう二つの事柄を授業に活かしていく。

2時間目

「一人前の漁師」とは
  • 25分
    音読練習

    場面分け・登場人物の確認 

  • 15分
    「一人前の漁師」とは

    ◯自分にとって、「一人前の漁師」とは何か →意見交流

  • 5分
    振り返り

    「一人前の漁師」とは

自分にとって、「一人前の漁師」とは

児童それぞれにとって、「一人前の漁師」とはどのような状態なのか考えさせる。

C:「たくさん魚がとれる」「漁で生活している」「大物が釣れる」・・・

お互いの考えを伝え合う。次時で、登場人物それぞれの考え方が見えてくるため、比較として自分にとっての「一人前の漁師像」を考えておく。

2時間目の使い方として、物語のあらすじを理解するために、様々な視点を持ち何度も物語を往復する活動(音読練習を含め)を重視したい。

3時間目

それぞれの「一人前の漁師」とは
  • 5分
    音読練習

    ・登場人物の会話に着目して、授業のポイントになる場面のみ音読

  • 30分
    対役

    ・登場人物を表す言葉から、海(漁師)についてどう考えているかまとめる。

    ◎太一に最も影響を与えたのは誰か

  • 10分
    振り返り

    ・太一に最も影響を与えたのは誰か

対役

中心人物(太一)に最も影響を与えた人のことを対役という。「誰がより大きな影響を太一に与えていると思う?」と問いながら、登場人物それぞれの言葉に焦点を当てていく。

・登場人物の考え方をまとめる。

《それぞれを象徴する言葉》《見えてくる考え方》
父:「海のめぐみだからなあ」←海の恵みをいただいている。
(海のおかげ、自慢しない)
与吉じいさ:「千匹に一匹でいいんだ・・・」←海と共に生きる。(無駄にとったりしない)
母:「おまえが、おとうの死んだ海にもぐると、←海の怖さ、無謀な漁をしてほしくない。

◎太一に最も影響を与えたのは誰か

C:父「とうとう父の海にやってきた」「夢は実現する」 母「おとうの死んだ海にずっともぐっていなかったから」 与吉「ずっと教えてもらっていたから」など。

教師の見解:それぞれの想いに影響を受けている。でも、瀬の主を求め、挑みたいと思っている。

本時の目的:周囲の人物の言葉や考えに焦点を当てる。また、太一の「瀬の主を見つけたい、挑みたい」という気持ちにクローズアップすることで、次時に、クエを殺さなかった太一の気持ちの変化について、より関心をもって考えることができる。

4時間目

太一にとって「一人前の漁師」とは
  • 5分
    音読練習

    授業のポイントになる場面のみ音読

  • 30分
    クライマックスについて考える

    ◯「太一は、クエを取りたくなかったのか?」

    ◎なぜ、クエを殺さなかったのか

  • 10分
    振り返り

    ・「なぜ、クエを殺さなかったのか」

クライマックスについて考える

◯「太一は、クエを取りたくなかったのか?」

C:とりたい「殺さずにすんだ、とある。」「とらなければ、本当の一人前の漁師になれない」

C:とりたくない:「おとうみたいになる」「おとうに見えた」「海の命だから」

教師の見解:「太一は、クエをとりたかったんだね、では、なぜ、取らなかったの?」

◎なぜ、クエを殺さなかったのか

例:海の命、海と共に生きる生き方を、おとうや、母、与吉じいさから学んでいたから

解釈:太一は、太一の思う「本当の一人前の漁師」になろうとしていたが、瀬の主と向き合い、周囲の言葉を受け止めることで、新たな気づきが生まれた。そして、父のような「村一番の漁師」であり続けた。

クエをとりたいと思っていた。でも、殺さなかった。理由について、それぞれの表現を交流させつつ、周囲の人物の影響が、太一の考え方に関わっていることをおさえる。

5時間目

太一は「本当の一人前の漁師」になれたのか
  • 10分
    音読練習

    授業のポイントになる場面のみ音読

  • 25分
    太一は「本当の一人前の漁師」になれたのか

    ◎太一は、「本当の一人前の漁師」になれたのか

    ・最後に一文を加える

  • 10分
    学習のまとめ・「作品のメッセージ」

    学習したことを通して考えたことを書く

一文を加える

◎太一は、「本当の一人前の漁師」になれたのかそのように問うことで、そもそも、「太一にとって「一人前の漁師」とは何か考えるきっかけになる。

C:なってない「瀬の主をとってないから」「瀬の主をとるくらいなら、本当の一人前でなくても良いと自分の考えを変えた」なった「瀬の主をとることが一人前でないと気づいたから」

教師の見解:なれた/なってない どちらの立場でも良いが、ほほえんだ太一は「瀬の主をとる必要がない」と考えを変えていることを再度確認する。

その上で、物語の最後に一文を加える

「もちろん太一は生涯だれにも話さなかった。・・・・。」

例:「千匹に一匹、海の恵みを受けられたのなら、それでいいのだから。」「海の命と共に漁をしていこうと決めた。」など

前時の、クエを殺さなかった理由や、太一にとって「一人前の漁師」とは何かを含めて考えてみる。

太一は、「本当の一人前の漁師」になろうとしていた。でも、瀬の主と向かい合い、おとうや母、与吉じいさの言葉の真意を受け止め、「本当の一人前の漁師」について気づくことができた。小学校を卒業しても、周囲の言葉を受け止め、堂々と自分の人生を歩んでほしい。最後の物語を学習して、教師が思う作品のメッセージを伝えた。

コメント